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動悸と漢方薬

緊張したり、不安になったりで動悸を感じることがあります。新型コロナウイルスが広まってから動悸を訴える人が増えています。心理的な要因だけでなく、様々な病気により動悸は起こります。 動悸は一過性のものと持続性のものに分けます。持続性のものは多くの場合、心房粗動、心房細動、発作性上室性不整脈によるもので、循環器科でその他の原因も含めてしっかり診断治療する必要があります。一過性ものは、心臓、肺、消化管、血液、内分泌などの基礎疾患によるもの、薬物、アレルギー、感染症によるもの、精神心理的なものがあります。夏の暑い時期は脱水によるにも注意します。それぞれの基礎疾患を治療することが大切です。  漢方では衝逆(エネルギーの流れが上方につきあがってくるの)を抑える桂枝(シナモン)の入った処方を用います。私が多く使うのは桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)です。他にも柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)などを症状と体質をみて処方します。体が弱っているときは朝鮮人参や地黄・麦門冬のはいった炙甘草湯(しゃかんぞうとう)も使います。漢方薬は一見、対症療法に見えますが経脈(けいみゃく)という体のネットワークを通して働きますので、原因療法にもなります。中等度以上の基礎疾患は西洋薬と併用することが必要です。 (動悸の原因については問題解決型救急初期診療第2版 田中和豊著を参考にしました) 次回は8月17日頃の更新予定です