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のどの痛みと漢方薬

 朝夕が冷え込むようになってきました。この時期になると、のどの痛みでお困りになるかたも多いと思います。のどの痛みの原因はほとんどが感染症です。そのうちの90%がウイルスによるものでインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスを除くと対症療法となります。医療機関に行けない場合でも、様子をみるか総合感冒藥を飲んで数日我慢するとよくなってくることがほとんどです。感染症の残り10%は細菌感染症ですが、細菌のうち A群β溶血連鎖球菌 の感染以外では抗生物質を飲む必要があまりなく、38度を超える発熱、圧痛のある前頚部リンパ節腫脹、扁桃線の腫張や浸出物などが伴わわなければあまり心配しなくてもよいと思います。不安なら医療機関でA群連鎖球菌迅速診断キットなどで調べてもらいましょう。新型コロナウイルスが心配な場合、厚生労働省のホームページに発熱、咳などの症状のある場合の対処方法(※)が出ていますので参考にしてください。  しかしながら咽頭痛にはまれですが、 心筋梗塞 、 大動脈解離 の放散痛の場合がありこの場合は緊急に循環器科にかかる必要があります。痛み以外の、熱や咽頭の発赤などの感染症の諸症があまりないのが特徴です。もう一つ、こもった声・嚥下痛・吸気時の喘鳴などの気道閉塞の症状があれば 重症の咽頭膿瘍、重症の急性喉頭蓋炎 の可能性があり耳鼻科にすぐにかかることが必要です。ほかに咽頭痛を起こすものとして腫瘍や自己免疫疾患があります。経過をみてよくならなければ耳鼻科に受診しましょう。  漢方治療でも急性の咽頭痛は感染症として対応することがほとんどです。胃経(いけい)という消化器に関連する経絡(けいらく)が傷むことが多く、 桔梗湯 (ききょうとう)、 甘草湯 (かんぞうとう)、 桂麻各半湯 (けいまかくはんとう)、などを処方することが多いです。体が弱っていたり冷えが強い場合は 麻黄附子細辛湯 (まおうぶしさいしんとう)を処方します。長く続く場合は 小柴胡湯加桔梗石膏 (しょうさいこうとうかききょうせっこう)を併用処方することもあります。冬は乾燥のため、痛み(のどの違和感)と咳が出やすく、そのような場合は、心包経(しんぽうけい)三焦経(さんしょうけい)にはたらく 麦門冬湯 (ばくもんどうとう)、 滋陰降火湯 (じいんこうかとう)を単独でまたは兼用します。感染症以外の場合は原因疾患に対する漢方薬