嘔吐と漢方薬

5月15日に四国は梅雨入りしました。例年より20日も早く今年は季節が早く動くようです。当院でも4月ごろから、風邪薬としてかっ香正気散(かっこうしょうきさん)を処方することが多くなりました。一か月くらい処方の時期が早いようです。かっ香正気散は平胃散(へいいさん)という胃薬をもとにして作られた処方で、例年梅雨時から夏場にかけてこの処方が多くなります。このように季節が予定より早く来る状況は、体が季節についていけず病気が起こりやすくなります。

また、これから夏場にかけて冷蔵庫のものや、冷房で胃腸を冷やしておなかをこわしてしまうことが多くなります。食事と室温には十分注意してください。おなかの症状として嘔吐をともなうことがありますが、結構つらいものです。

嘔吐は延髄の嘔吐中枢に刺激が伝わりその反応で起こります。刺激のルートは①(副交感神経を通して)胃腸・心臓などから②耳の前庭系から③腦‣髄膜の刺激から④延髄の化学物質の受容体の刺激から の4つです。

嘔吐というと直感的に胃腸の疾患と考えてしまいがちですが。急性心筋梗塞などの心臓病、良性発作性頭位めまい症(BPPV)、脳腫瘍・髄膜炎・緑内障など、薬物(アルコールが有名)、糖尿病性ケトアシドーシス、姙娠、卵巣念転精巣捻転。などによっても起こり、中には命に係わる病気の可能性があります。胃腸疾患でも絞扼性イレウス急性虫垂炎、急性膵炎のようにすぐに手当てが必要な病気もありますので、下痢を伴う典型的な胃腸炎以外は原因疾患を調べるようにしましょう。

嘔吐の治療としては原因疾患を治療することが基本でが、嘔吐が続けば日常生活が営えません。嘔吐を止める治療が合わせ行われます。治療薬としては抗がん剤による嘔吐は別にすると、メトクロプラミド(内服、注射液)、ドンペリドン(内服、座薬)などのドパミン受容体拮抗薬をもちいて消化管の動きを改善します。

漢方薬も嘔吐に処方されています。生姜(しょうきょう)乾姜(かんきょう)が入った処方がもちいられることがほとんどです。生姜は「嘔家の聖藥」といわれ半夏とあわせて嘔吐に用いられてきました。胃炎・胃腸炎に二陳湯(にちんとう)、生姜瀉心湯(しょうきょうしゃしんとう)、姙娠悪阻に小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、乾姜人參半夏丸(かんきょうにんじんはんげがん)などの処方が有名です。その他、生姜は入っていませんが感染性胃腸炎に五苓散(ごれいさん)などを使うことがあります。 次回更新は8月はじめの予定です


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