浮腫と漢方薬


 本年8月の日本東洋医学会学術総会での発表で、新型コロナウイルス感染症については、急性期に葛根湯エキスと小柴胡湯加桔梗石膏エキスを投与する臨床研究が始まっていること、十味敗毒湯エキスを推奨している先生がおられことが気になりました。インフルエンザでは麻黄湯を代表する発汗剤を用いることが多いですが、新型コロナウイルス感染症には今のところ決まったものはないようです。

 台風シーズンとなりました。気圧が低くなると体がむくんでいると感じる方は多いとおもいます。持病が悪化する方おられるようです。気圧が低くなって血管内へ水分が戻る圧が減るのと自律神経のバランスが崩れるからと私は考えています。また、気圧に関係なく浮腫があって治したいと漢方薬を希望する患者さんも多いものです。

 浮腫は全身性と局所性に分けられます。全身性浮腫は、心不全、腎不全、肝硬変などの内臓疾患、甲状腺機能低下症などの内分泌の疾患、薬物性などで起こります。血液検査でアルブミン、クレアチニン、肝酵素、ホルモン値を測ると原因がある程度推測できます。局所の浮腫は、閉塞性(深部静脈血栓症、リンパ管浮腫、腫瘍・動脈瘤などによる圧迫、下肢静脈瘤)と、非閉塞性(蜂か織炎など)に分けられます。浮腫の治療は急がず原疾患を治療することが基本になりますが、深部静脈血栓症は肺塞栓をおこすことがあり緊急の治療が必要です。片足の全体やふくらはぎが急に膨れ上がり(多くは赤黒い)、痛みを伴うときは医療機関に受診してください。また突然唇が腫れたり、眼瞼が腫れて病院に駆け込むことがありますが、これは血管性浮腫で、真皮のアレルギー反応により起こります。じんま疹と同じ治療をします。

 漢方薬では水毒と考え全身性浮腫局所の浮腫とも五苓散(ごれいさん)、四苓湯(しれいとう)、柴苓湯(さいれいとう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)などが用いられます。下半身中心の場合は八味丸(はちみがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきいがん)、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)なども用います。これらを用いるときは頻尿、残尿感などの膀胱症状がある場合が多いです。下肢静脈瘤には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などを使います。慢性の浮腫の治療はある程度の時間をかける必要があります。 次回は12月に更新予定です。

  参考文献 診断と治療について:問題解決型 救急初期診療 田中和豊著 

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