めまいと漢方薬

 めまいは、回転性めまい、浮遊感、失神、痙攣のいずれかにわけられます。回転性めまい、浮遊感は神経系、循環系に異常があることが多く、まれに自律神経障害、更年期障害などの全身性疾患があります。神経系は内耳、前庭に原因がある末梢性と脳幹、小脳に原因がある中枢性のものがあります。循環系では不整脈、高血圧、急性大動脈解離、完全房室ブロックなどがあります。耳鳴、難聴、頭痛、胸痛、手足のしびれ、麻痺などの症状に注意して耳鼻科、脳外科、循環器科などで原因を調べる必要があります。失神、痙攣は循環器内科、神経内科で精査してもらいましょう。
 原因療法とともに、吐き気止め、抗めまい薬を使って治療します。末梢性でもっとも頻度が多い良性発作性頭位めまいはEpley法で耳石を治めることもします。
 漢方治療では沢瀉湯(たくしゃとう)が第一選択薬です。この処方はエキス剤にはありませんが、沢瀉(たくしゃ)、白朮(びゃくじゅつ)の2味からなる処方で、生薬を処方してもらえば簡単に作ることができます。2000年ほど前に編纂された金匱要略(きんきようりゃく)に載っている処方で「胸部からみぞおちに水分が滞っていて頭にかぶるようなめまいをする場合に使う」(意訳)と書かれています。回転性めまい、浮遊感の両方に使います。他に立ちくらみがメインの時は苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を処方します。浮遊感が中心の時に真武湯(しんぶとう)が卓効することがあります。次回3月20日更新予定です。

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